【ビジネスモデル】”何を・誰に・いくらで・どのように”を考える
”何を・誰に・いくらで・どのように”を考える
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仕事柄、第三者からの出資の相談をよく受けるんですが、相談者から、
・内容が難しすぎて理解してもらえない
・儲かるビジネスだって気づいてくれない
・投資家がリスクマネーをわかっていない
などの声が多く聞かれますが、詳しく話を聞いていくと、投資家が求めるであろう情報が抜け落ちていることがほどんどです。
私の経験則ではありますが、起業家のうち、約80%の方は、事業計画やビジネスモデルを説明する資料がなく、『作ってみてください』と言っても作れません。
・誰に、何を、いくらで、売るのでしょうか?
・どうやって儲けるのでしょうか?
これらを具体的に示せない起業家に出資をする投資家はいません。このことを理解していない起業家が残念ながら非常に多いんです。
何故か?それは言語化できるまでしっかりと考えられていないからです。
「事業で収益を上げるための仕組み。事業として何を行ない、ターゲットは誰で、どのようにして利益を上げるのか、という「儲け」を生み出すための具体的なシステムのこと」を「ビジネスモデル」という(ASCII.jpデジタル用語辞典より)
このビジネスモデルが非常に大事なんです。
しかし、大半の起業家が作れないということからもわかるように、ビジネスモデルを作るのは結構難しいんです。
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今回は、”何を・誰に・いくらで・どのように”を考えるをテーマに、
・ビジネスモデルがなぜ必要か?
・”何を”・”誰に”を考える
・”いくらで”・”どのように”を考える
の話をします。これらを通じて、ビジネスモデルをどのように考えて、どう作ればいいのか?を理解していただければと思います。
事業計画を作る前に、まずビジネスモデルをしっかりと考えてみましょう。魅力的なビジネスを投資家に説明して、資金調達を実現し、事業を推進していきましょう。
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もくじ
ビジネスモデルがなぜ必要か?
ビジネスモデルがない状態で事業を始めてはいけません。
間違いなく失敗します。
『やってみなきゃわからないじゃないか!』と思うかもしれませんが、やらなくてもわかります。
”何を”がなければ、どんな技術開発が必要か?技術開発にいつまでやらなきゃいけないか、いくらかかるのか?また、生産にどれくらいの時間とお金が必要なのか?がわかりません。
”誰に”がなければ、お客さんはいるのか?わかりません。居たとしてもその人がどのような購買行動をとっているのか?どこにいけば会えるのか?がわかりません。
どんな時間軸で、いくらお金が必要なのか?いくら儲かるのか?がまったくわからないんです。
とりあえずやってみて、お金が足らなくなったらお金を借りるような、行き当たりばったりの経営をしてはいけません。当たったら儲けものみたいな博打的な事業運営はほとんどが失敗します。
そのような経営をする経営者を支援してくれる人がどこにいるでしょうか?
居ても身内か仲の良い友達くらいでしょう。仲間内で続けていくならいいかもしれませんが、赤の他人から支援してもらえることはまずありません。
ですから、事業を大きくしたい、成功させたいと思うなら、ビジネスモデルを考えないといけないんです。
それではどうやって考えていけばいいのでしょうか?
いろいろなやり方がありますが、私のお勧めする方法を紹介します。
まず、①”何を”・”誰に”を考えたのちに、②”いくらで”・”どのように”を考えていくんです。①は、バリュープロモーションキャンバスを使って、そして②については、ビジネスモデルキャンバスを使って考えるといいいと思います。
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”何を”・”誰に”を考える
”何を”・”誰に”は、バリュープロポジションキャンバス(Value Proposition Canvas)を使って考えるといいでしょう。
バリュープロポジションキャンバスとは、自社の製品/サービスと顧客のニーズとのずれを解消するためのフレームワークです。アレックス・オスターワルダー氏の『バリュー・プロポジション・デザイン(2015年発表)』で紹介されています。
これを使って、”何を”・”誰に”を明確にしていきます。
作成手順
①事業名 → ②顧客セグメント → ③顧客が解決したい課題 → ④顧客の課題 → ⑤顧客の利得 → ⑥顧客の悩みを取り除くもの → ⑦顧客の利得をもたらすもの → ⑧製品やサービス → ⑨顧客への提供価値、になります。
事業名を設定する
検討しようとする事業を設定します。明確になっている場合はそれを、まだぼやってしている場合はそのままでいいので何か仮置きしてください。このシート埋めていく過程で具体的になってきたらそれに置き換えてください。
顧客セグメントを決める
どのような顧客に対し製品・サービスを提供するかを決めます。
都会に住んでいるサラリーマンといったようなざっくりとしたターゲットでも問題ありませんが、より具体的なターゲットを設定するとより精度が上がります。地域、年齢、性別、家族構成、職業、趣味/趣向、価値観、欲求などに基づいて設定できるといいです。
具体的な個人(作成者自身でもOK)を想像できるのであれば、それでもいいでしょう。このシート埋めていく過程で具体的になってきたらそれに置き換えてください。また複数のターゲットある場合は、このシートを複数作ってください。
顧客視点で考える
まず顧客視点で事業を考えます。右側の丸の中です。この時、顧客のなりきって、彼らの気持ちになって考えることが大事です。
”顧客が解決したい課題”では、顧客が、やりたいこと、やらなければならないこと、望むこと、ありたい姿、を記載します。
”顧客の課題”は、顧客が課題を解決したいにあたって、問題になること、弊害になること、悪いこと、したくないこと、減らしたいことを記載をします。
”顧客の利得”は、顧客が課題を解決したいことによって得られる、利益、便益、得になること、よくなること、したくないこと、嬉しいことを記載します。
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企業視点で考える
顧客視点で考えた結果に基づいて、企業側でどう対処していくのか?を考えていきます。左側の丸の中です。
”顧客の悩みを取り除くもの”では、顧客が課題を減らすために必要な企業側の行動もしくは施策を記載します。
”顧客の利得をもたらすもの”では、顧客に利得をもたらすために必要な企業側の行動もしくは施策を記載します。
”製品やサービス”では、顧客の利益をもたらすものと、顧客の悩みを取り除くものの両方を兼ね備えた製品やサービスは何なのか?を考えます。
”顧客への提供価値”では、顧客の利益をもたらすもの、顧客の悩みを取り除くもの、製品やサービスを踏まえて、顧客への提供価値(キャッチフレーズ)を考えます。
既存ビジネスで考えてみる
バリュープロポジションキャンバスの作り方は前述のとおりですが、いざやってみるとなかなか上手くいかないということはよくあります。
そこで慣れるためにはこの世の中に既に存在するビジネスで、このバリュープロポジションキャンバスを埋めてみるといいでしょう。
よく知っているビジネスだと考えやすいと思います。複数個やってみるとなおいいでしょう。
感触がつかんだ後、自社のバリュープロポジションキャンバスを作ってみてください。
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”いくらで”・”どのように”を考える
”いくらで”・”どのように”は、ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas)を使うといいと思います。
ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスの構造を整理して設計図のような状態にするフレームワークです。
アレックス・オスターワルダー氏とイヴ・ピニュール氏によって開発されたもので、『ビジネスモデル・ジェネレーション(2012年発行)』にて提唱されています。これを使って、”どのように”を考えていきます。
作成順
①事業名 → ②顧客セグメント → ③提供価値 → ④チャネル → ⑤顧客との関係 → ⑥収益の流れ → ⑦主要な資産 → ⑧主要な活動 → ⑨主要パートナー → ⑩コスト構造、になります。
事業名と顧客セグメント
”事業名”と”顧客セグメント”は、バリュープロポジションキャンバスと同じものが入ります。
”顧客セグメント”は、複数ある場合は、このシートを複数作ってください。作った後、まとめられるようであれば、まとめてください。
収益に関わるもの
”提供価値”は、顧客にどんな商品やサービスを提供するのか?提供価値は何か?を設定します。バリュープロポジションキャンバスの”商品やサービス”・”顧客への提供価値”にあたります。
”チャネル”は、価値を届けるためのルートやPRする方法を設定します。視点としては、認知・評価・購入・提供・アフターサービスでみるといいでしょう。例えば、店舗/ネット、オンライン/オフライン、チラシ配布などがあると思います。
”顧客との関係”は、どうやって顧客との関係を構築し維持・展開していくのか?を設定します。例えば、フロー/ストックなどどういったビジネスか?、事業拡大で進めるのか?バックエンドへ誘導として使うのか?などがあるでしょう。
”収益の流れ”は、マネタイズポイントを設定します。いくらで、いつ売り上げ計上するのか?売り切りなのか?定額制なのか? また支払いのタイミングなど(小売販売・サブスク・リース/レンタル・ライセンスなど)があると思います。
コストに関わるもの
”主要な資産”は、”提供価値”を出し続けるために必要な資産(ヒト・モノ・カネ・情報)を設定します。
”主要な活動”は、提供価値を出し続けるための活動を設定します。
”主要パートナー”は、どのようなパートナーと協力していくのか?を設定します。例えば、仕入、開発、生産、販売、アフターサービスのポイントで関係先が挙げられると思います。
”コスト構造”は、提供価値を出すためにかかるコストを設定します。仕入代、店舗費用、業務委託費、人件費、広告費、営業活動費などが挙げられます。
既存ビジネスをで考えてみる
こちらも、バリュープロポジションキャンバスと同様に、この世の中に既に存在するビジネスで、このビジネスモデルキャンバスを埋めてみるといいと思います。いくつかやってみた後、自社のビジネスモデルキャンバスを作ってください。
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まとめ
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今回は、”何を・誰に・いくらで・どのように”を考えるをテーマに、
・ビジネスモデルがなぜ必要か?
・”何を”・”誰に”を考える
・”いくらで”・”どのように”を考える
の話をしました。
これらを通じて、ビジネスモデルをどのように考えて、どう作ればいいのか?を理解していただけたでしょうか?
ビジネスモデルが作れたら事業計画を作るのはそんなに難しくありません。
きっと魅力的な事業が投資家に説明できるようにあるでしょう。資金調達を実現し、事業を推進していきましょう。
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wrote by ひさつぐ
(本名:丹田 久嗣(たんだ ひさし))
職業 :経営コンサルタント
業務内容:資金調達、上場準備、社外CFO、その他経営コンサル
活動地域:大阪、京都、滋賀、その他(要相談)
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