【上場準備】上場するまでのステップ

あなたはなぜ、会社を上場させたいのでしょうか?

 

・地位や名誉が得られるから
・お金持ちになれるから
・起業したからにはやはり上場でしょ

 

などといった、浅い理由なのであれば、上場は間違いなく失敗しますから、やめておいたほうがいいです。

 

上場を目指すなら、真剣に向き合わなければいけません。会社の失敗は、あなただけの失敗では済みません。社員やその他関係者を路頭に迷わせることになります。

 

上場するのは難しくはありませんが、たいへんです。時間と労力とお金が相当かかります。

 

日本には約420万の会社があり、そのうち上場しているのは、たった3,860社です。ほとんどの会社は上場していません。

 

サントリーやロッテなど、上場していない大企業もあります。他の非上場でも優良企業はたくさんあります。すなわち、必ずしも“上場”=“会社経営の成功”ではないということです。

 

それでも、上場を目指しますか?

 

私は上場否定派ではありません。逆に推進派のほうですが、経営者が間違った理解で、上場を目指して欲しくはありません。上場を正しく理解してほしいと強く願っているだけです。

今回は、”上場するまでのステップ”をテーマに、東京証券取引所のマザーズ市場を例に、

 

上場準備に入る前に行うべきこと
・N-3期までに行うべきこと
・N-2期に行うべきこと
・N-1期に行うべきこと
・N期に行うべきこと

 

について話をします。

 

上場を考え始めてから上場するまでのステップがわかり、上場するためにどうしていけばいいのかが理解できると思います。

 

私の書籍”5年で上場するための道筋”に、もう少し詳しく書いていますので、ご興味あれば読んでみてください。

 

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まんがびと
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もくじ

上場準備に入る前に行うべきこと

覚悟を決める

覚悟が持ていないのであれば、上場を目指すのはやめておいた方がいいです。

 

先輩経営者の声、上場関係者たちの話、たくさんの情報を仕入れて、自社の上場に向けての想いを整理してください。

 

落とし穴がいっぱい隠れています。辛いことがたくさんあります。想定してないかったことが山ほど起こります。色々なプレッシャーに押しつぶされそうになります。

 

上場を考える上で、絶対に間違ってはいけないのは、上場ありきのゴールにならないこと、上場ありきのスケジュールにならないことです。

 

上場はあくまで企業成長のための手段であり、通過点にすぎません。

 

このことをしっかり心に刻んで、臨まなければいけません。

 

ここに一番時間をかけてもいいと思っています。

 

覚悟ができないうちは動くべきではありません。どんなことがあっても、乗り越えていこうと覚悟を決められた時が動く時です。

上場までのスケジュールを組む

上場しようとする株式市場にもよりますが、東京証券取引所のマザーズを例にすると、会計監査の期間や管理体制の整備期間を考えると、最低2年半から3年の期間が必要と言われています。

会社経営の実績が十分にあり、ある程度の社内管理体制ができている会社であれば、最短期間で上場も可能でしょう。

しかし、社内管理体制ができていない会社や創業間もない会社が、その期間内で上場することは至難の業です。

そのような会社は、上場準備の前準備として約2年、トータル上場までに最低5年をみておいたほうがいいでしょう。

N-3期までに行うこと

IPOコンサルタントを選定する

IPOコンサルタントとは、簡単にいうと、上場を目指す会社の伴走者です。

 

コンサルタントという名の職業の方には評論家が多く、教科書的なことばかりを提示し、実務に合った具体的な提案をしない、できない方もたくさんいます。

 

IPOコンサルタントも、その例外ではありません。

 

ベンチャー企業では、そもそも実務がまだ確立しておらず、たくさんの課題を抱えながら経営をしていて、しかも最小限の人員で業務をこなしているので、非常に忙しく働いています。

 

そんな中で、上場のためとはいえ、理論ばかりをかざして、『あれをしろ!これをしろ!』と言われたら、たまったものではありません。

 

事件は現場で起きています。現場を見ず、指示ばかりするコンサルタントはお断りです。

 

そうではなく、社内の上場準備担当者と一緒に、汗水垂らして動いてくれる、そんなコンサルタントを選定するようにしましょう。

 

選定の際には、複数の候補先から、具体的にどんなサービスを提供してくれるのか?を詳しく聞き、会社の意向にあったコンサルタントを選ぶようにしましょう。

 

上場準備チームを作る

まず、上場準備責任者を決めます。

 

上場準備責任者は、上場準備の一連の業務を統括します。この上場準備責任者が頼りないと、全く上場準備は進みません。

 

上場準備という、通常業務とは別の新しく発生する業務を社内に持ち込むわけですから、それはたいへん骨の折れる仕事です。

 

社内への影響力があって、外部関係者との交渉力に優れ、多くの関係者を巻き込み、あらゆる障害に屈することなく、業務を推進することができるメンバーを選んでください。

 

そして、この上場準備担当者を中心に、上場準備チームを作ります。

 

初めは数人でいいでしょう。初めからあまり広げすぎてはいけません。逆に推進力を失いかねませんから。

 

上場準備が進むにつれて、業務量が増えてくるので、都度メンバーを増やしていくようにしましょう。

 

新しく採用するという考え方もありますが、ベンチャー企業のように、そもそも人材が不足している場合は、通常業務と兼務するしかありません。

 

通常業務ですら大変なのに、それに並行して進めていくのはたいへんです。上場準備責任者の手腕が問われるところです。

 

事業計画/資本政策を策定する

上場するまでの事業計画を策定します。

 

資本政策を策定するにせよ、企業価値(時価総額)を想定するにせよ、元となる資料です。投資家からの出資を受ける際にも必要になりますので、しっかり作りましょう。

 

上場準備の過程で何度か見直しをしますが、この時点であまりにもラフすぎると上場までのストーリーが大きく崩れることもあり得ます。

 

できるだけ、精緻に根拠も示せられるように、作っておくことが望ましいです。

 

作成にあたっては、IPOコンサルタントの指導を仰ぐといいでしょう。

 

 資本政策とは、上場するまでに必要な資金調達と、株主構成をまとめた計画をいいます。具体的には、『誰から、どれ位の金額を、いくらの株価で、いつ調達するのか?』です。

 

これを作らずに、とりあえずで、資金調達してしまうと、資金調達先の株式保有割合が大きくなり、経営のコントロールを失ってしまうことにもなりかねません。

 

ですから、資本政策は大事な資料の一つです。

 

考えるステップとしては、事業計画に基づいて、上場時の企業価値(時価総額)や資金調達額と株主構成等のイメージを考えます。

N-2期に行うべきこと

主幹事証券会社を決める

正確には、N-2期の直前には行っておきたいことです。主幹事候補をここで決めます。

主幹事証券会社は、上場における最も重要なパートナーです。一般的には、主幹事証券会社と1年以上の契約を締結して、会社と一緒になって上場準備を進めていくことになります。

上場準備前の段階では、上場スケジュール、事業計画の策定、資本政策の策定についてアドバイスを受けます。

上場準備に入ったら、社内管理体制の整備等に関するアドバイス、申請書類のドラフトのチェック等があります。

そして、証券取引所の上場審査を受ける前に、主幹事証券会社の審査部門が第三者的立場で、会社を厳しく審査します。

証券会社には、野村證券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、大和証券、SBI証券などがあります。

主幹事証券会社の役割は、非常に重要になりますので、主幹事としての経験と実績を考慮して、選択することが必要です。

また、証券会社によって、それぞれの特徴がありますので、自社に合った証券会社を決めるとよいでしょう。

監査法人のショート・レビューを受ける

監査法人を決めることも必要です。こちらも、正確には、N-2期の直前には行っておきたいことです。

株式上場には、申請書類に含まれる財務諸表等について金融商品取引法に準ずる監査を受けていることが必要です。

このため、監査が必要とされている期間(マザーズの場合、上場申請直前期以前の2年間)よりも前に、監査法人と監査契約を締結する必要があります。

4大監査法人として、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、PwCあらた有限責任監査法人が有名ですが、それ以外にも太陽有限責任監査法人、東陽監査法人、三優監査法人など有力な監査法人がたくさんあります。

株式上場の実績と指導経験の豊富な監査法人を選ぶことが大切です。実際の面談してみて、会社と相性のよいところを選んでください。

そして、監査法人によるショート・レビューを受け、上場に向けた課題の洗い出しをします。現状がわかるとともに、上場までに、何をしなければならないのかがわかります。

経営管理体制の整備

ショート・レビューで明らかになった、経営管理体制の課題をリストアップし、解決策とスケジュールを組みます。

課題のボリュームにもよりますが、一般的には、プロジェクトチームを横断的に立ち上げて、スケジュールに従って、整備していきます。

実際には、IPOコンサルタント等の外部専門家から協力してもらいながら、進めることになります。内容によっては監査法人に相談をします。

課題解決には、時間と労力がかなり必要であると認識してください。相当しんどいです。

N-1期に行うべきこと

経営管理体制の運営実績づくり

この時期になると、主幹事証券会社からの本格的なコンサルが始まります。彼らとのコンサル契約締結後、主幹事証券会社による経営管理体制整備状況のチェックを受けます。

N-2期の1年間で経営管理体制の整備は完成され、N-1期ではその運営実績を作っていくことを望まれますが、N-1期の1年間丸々を運営実績に当てられるのは稀で、非常に優秀な会社しかできません。

大抵の場合、整備は遅れています。不足している部分が発見されます。

だからといって、上場はできないということではありません。まだ大丈夫です。6ヶ月の猶予があります。

運営実績は、最低6ヶ月間貯めることが求められるので、しっかり、計画を組み見直して、以降は絶対に、遅れないように進めましょう。

証券代行機関を決める

株主名簿管理人として、株主名簿の作成や配当処理等の株式に関する事務を円滑に行うための機関です。

みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行などがあります。提供しているサービスは、それほど違いはありませんので、息の合うところを選べばいいでしょう。

印刷会社を決める

上場時の申請書類の作成、上場後の有価証券報告書等ディスクロージャー書類の作成等を行います。

宝印刷とプロネクサスの2社しかありません。提供しているサービスは、それほど違いはあませんので、息の合う方を選べばいいでしょう。

主幹事証券会社による審査

主幹事証券会社による審査は、野村證券では2回、その他の証券会社では1回です。後者では、申請時から遡って約6ヶ月前に行われます。平たく言うと、プレ上場審査です。

ここで不備など見つかった場合は、本番の上場審査に向けて、是正していくことになります。不備の度合いによっては、上場審査を見送るということもあります。

ですから、この審査は本番さながらのつもりで準備周到で挑むようにしてください。ここが体力的にも精神的にも上場準備の最大のピークだと考えてください。

N期に行うべきこと

経営管理体制の運用を継続します。申請書を完成させ、定款変更や取締役会決議などの社内手続きを済ませ、証券取引所へ上場申請します。

ここまで来れば、大きなトラブルがない限り、各イベントは粛々と進んでいきます。

証券取引所による審査が約2ヶ月、ファイナンス約1ヶ月を経て、上場となります。

流れを箇条書きに記載すると、以下の通りです。

・定款の変更
・上場申請/上場審査
・公募価格の検討
・有価証券届出書・目論見書
・上場承認
・目論見書の配布
・プレマーケティング
・上場説明会
・ブック・ビルディング
・上場

まとめ

今回は、”上場するまでのステップ”をテーマに、

 

上場準備に入る前に行うべきこと
・N-3期までに行うべきこと
・N-2期に行うべきこと
・N-1期に行うべきこと
・N期に行うべきこと

 

について話をしました。

 

上場を考え始めてから上場するまでのステップがわかったと思います。上場するためにどうしていけばいいのかが理解できたでしょう。

 

また、私の書籍”5年で上場するための道筋”に、もう少し詳しく書いていますので、ご興味あれば読んでみてください。

 

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まんがびと
https://mangabito.biz/?p=13244

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wrote by ひさつぐ
(本名:丹田 久嗣(たんだ ひさし))

職業  :経営コンサルタント

業務内容:資金調達、上場準備、社外CFO、その他経営コンサル

活動地域:大阪、京都、滋賀、その他(要相談)

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