【インセンティブ設計】ストックオプションの基礎を学ぶ

ベンチャー企業の経営者であれば、ストックオプション(以下SOをいう)という言葉を聞いたことがあるでしょう。

 

SOとは、会社の役員や社員が、あらかじめ定められた価格で、自社株を取得できる権利のことをいいます。

 

上場を目指すベンチャー企業か、すでに上場している企業がよく使うもので、役員や社員に対する報酬や退職金制度に用いられています。

 

潤沢な資金がないベンチャー企業の経営者にとって、SOを報酬の一つとして、入社時に役員や社員に提示することで、優秀な人材を確保できる、非常に便利なスキームです。

 

一方で課題もあり、しっかりと理解をしておかないと、後悔することになるかもしれませんし、のちにトラブルにも発展しかねません。知ったかぶりで進めると失敗します。

 

しかし、SOを理解するのは結構たいへんです。本やネットで情報は得られるものの、情報量が多く、また難しすぎて、頭がパンクしてしまいます。

 

『わかりやすいものがあればいいのに』

 

そう感じている経営者も多いのではないでしょうか?

 

 

さて今回は、”ストックオプションの基礎を学ぶ”をテーマに話をします。今回の話では、

 

・無償SOをまず理解するといい
・税制非適格SOと税制適格SO
・SOの付与プロセス・その他のSOの種類

 

について話をします。これらを知ることで、SOの基礎を知ることができます。

 

まずこの基礎を理解することができれば、より深く、さらにまた広く、理解できるようになります。

 

 

無償SOをまず理解するといい

 

SOには、いくつか種類がありますが、それらすべてを理解しようとすると、わけがわからなくなります。

 

ですので、まずはSOの中でも簡便でよく使われる無償SOについて理解するといいです。どういうものかを具体例で説明すると以下の通りです。

 

 

会社が、自社の株を1株1,000円で買う権利、SOをある社員に1,000株分、タダで付与します。

 

その後、会社の公開株価が上昇し、1株2,000円になった時点で、その社員が付与されたSOすべてで、”株を取得できる権利”を行使すると、

 

この時、1株につき1,000円の費用が発生し、その社員は、1,000円×1,000株=100万円を払うことになります。

 

その購入した株は、ほぼ同時期(実際は少しズレますが)に、2,000円で売却をすることができるので、1株につき1,000円の利益を得ることになり、社員は、1,000円×1,000株=100万円の売却益を得ることができます。

 

会社からSOを付与された時は、ただ(無償)で”株を取得できる権利”取得し、行使するときに、あらかじめ決められた安い金額で株式を買い、高い公開金額で株式を売ることで、利益を得られるというものです。

 

 

無償SOって得はあっても、損がないスキームなんです。

 

税制非適格SOと税制適格SO

 

税制非適格SOと税制適格SOを理解するために知っておく前提があります。

SOには、3つのタイミングと4つの価格があるということです。3つのタイミングですが、

・1つ目はSOを付与する時
・2つ目はSOを権利行使する(株式を買う)時
・3つ目が買った株式を売る時

です。4つの価格では、

・1つ目はSOを付与した時は”ゼロ”円
・2つ目はSO行使する価格(行使価額(前述の例では1,000円))
・3つ目は行使するときの株式の時価
・4つ目は買った株式を売る時の株式の時価
・(前述の例でいうと2,000円)

です。

 

 

非適格SOとは、税制優遇措置が設定されていないSOのことです。

 

SOを権利行使した時、行使価格(前述の例では1,000円)で、株式を買うことができますが、

 

その時、株式の時価が行使価格より高いと、差額が発生し、その差額は給与所得となり、給与所得税として、最大55%の累進課税がかかります。

 

さらに買った株式を売る時、行使した時の株式の時価と売った時の株式の時価の差額に、譲渡所得による課税(20%)がされるという形です。

 

一方、税制適格SOとは、税制の優遇措置を受けることができるSOのことで、こちらが適用されると、行使価額と行使時の株価の差額は無税で、

 

その後、株式を売ったときに、行使価額と売った時の株式の時価の差額に、譲渡所得による課税(20%)がされるという形になります。

 

 

すなわち税制適格SOのほうが、手元に残る金額が増えるわけです。税制適格SOがいいですよね。

 

ただし、税制優遇措置を受けるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

 

・付与対象者が、自社か子会社の取締役や執行役または使用人およびその相続人
・権利行使期間が、付与決議のあと2年から10年の間
・権利行使価格が、SO付与時の価額以上である
・権利行使価格が、年間1,200万円を超えないこと

 

 

SOの付与プロセス

 

少々面倒ではありますが、下記の5つのプロセスを経ることで、SOは付与することができます。

 

・SO行使価格の決定
・SO契約書の作成
・SO発行数や対象者の決定
・株主総会や取締役会でのSO決議
・SOの登記申請

 

 

行使価格は、直近イベントの時価(第三者割当増資があればその時の株価)を採用することが多いです。

 

直近イベントがない場合は、別途専門家による株価算定が必要です。

 

契約書には、発行要領と会社と付与対象者との約束事を記載します。のちのトラブル回避のためにも、司法書士や弁護士に依頼するのが望ましいでしょう。

 

発行数や対象者の決定は、妥当性のある付与ルールを設定しておくと、不公平感がなくなりいいと思います。

 

これらは、そんなに複雑ではないので、ある程度の知識を持っていれば、社内で検討を進めることも可能です。もちろん外部の専門家に、アドバイスを求めてもいいと思います。

 

株主総会や取締役会で、SOの詳細内容を決議します。

 

そしてその後、2週間以内に登記申請をします。司法書士や弁護士に依頼することが多いですが、登記申請書を自力で作成できれば、費用は抑えられます。

 

 

その他のSOの種類

 

無償SO以外にもいくつかのSOがありますが、次に知っておいたほうがいいSO2つ、有償SOと信託型SOを紹介しておきます。

 

 

有償型SOは、付与時にお金がかかるSOです。付与時に費用がかかりますから、社員の自己資金の負担がネックになりますが、税制適格が使えない、オーナー(創業者)や社外協力者などに有効なスキームです。

 

ただし、SOの価値の評価が難しいので、専門家に依頼したほうがいです。

 

私も前職で、有償SOを検討したことがあるんですが、算定を専門家に説明してもらいましたが、まったく理解できませんでした。

 

信託型SOは、無償SOや有償SOの欠点を解消するためにできたスキームです。その欠点というのは、

 

・在籍している
・役員や社員にしか付与できない
・将来入社する優秀な人材に割安なSOを付与できない
・実際の貢献度に応じて、SOを付与することができない

 

です。信託する資金は、会社が拠出する必要があり、そのためのSOの価値の評価をしなければいけませんので、専門家の力が必要です。

 

有償SOも信託型SOも、SOの価値の評価が非常に複雑なので、専門家とよく相談して進めましょう。

 

SOの価値の評価を誤ると、監査法人や上場審査で、認められないといこともありますから、慎重に対処したほうがいいです。

 

 

まとめ

 

今回は、”ストックオプションの基礎を学ぶ”をテーマに

 

・無償SOをまず理解するといい
・税制非適格SOと税制適格SO
・SOの付与プロセス
・その他のSOの種類

 

について話をしました。

 

今回の話をまとめると、SOを理解するには、無償SOをまず理解するといいです。無償SOは役員や社員にとって、得はあっても損がないスキームです。

 

ある要件を満たす必要はありますが、税制非適格SOよりも税制適格SOのほうが得です。

 

少々面倒ではありますが、5つのプロセスを経ることで、SOは付与することができます。

 

無償SOの次に、知っておいたほうがいいのは、有償SOと信託型SOです。

 

これであなたは、ストックオプションの基礎を知ることができたと思います。まずこの基礎を理解することができれば、より深く、またさらに、他のSOについても、広く理解できるようになります。

 

 

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wrote by ひさつぐ
(本名:丹田 久嗣(たんだ ひさし))

職業  :経営コンサルタント

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