【上場準備】上場準備で大事なポイント2/3-労務管理
上場準備で大事なポイント2/3-労務管理
前回の話では、上場準備で大事なことの一つとして、”上場準備で大事なポイント1/3-経理業務”をテーマに、
・非上場企業と上場企業との経理業務は違う
・経理業務に疎い経営者が多い
・合ったマネージャーを早く見つける、
について話をしました。前回の話をまとめると、
非上場企業と上場企業の経理業務は、まったく違うということ、経営者は経理業務を甘く見ないほうがいいということ、そしてできるだけ早く、ピッタリ合った経理部門マネージャーを見つけることが大事だということでした。
上場準備では、会社のお金の流れは、正確で正しく処理されていることが重要なので、必ず対処しておくべき項目なんですね。
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今回は、上場準備で大事なことの2つ目、”上場準備で大事なポイント2/3-労務管理”をテーマに話をします。今回の話では、
・未払残業代は必ず発見される
・会社の都合は通用しない
・未払残業代は絶対に支払わないといけない
・労務管理で押さえるべきこと
を順番に解説していきます。
これらを理解することで、労務管理の何が問題になるのか?どうして問題なのか?そして、どのようにすればいいのか?がわかります。
もし自社で、労務管理に問題があるようなら、これらの対策は、結構時間がかかりますし、業績にも影響してきますので、早めの対応をしたほうがいいでしょう。
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もくじ
未払残業代は必ず発見される
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ベンチャー企業は、労務管理が十分でなく、残業代が適切に支払われていないことが多いです。
労務管理においては、労働基準法などの法令や就業規則・給与規程等の社内規程に、沿っていることが基本なんですが、
実態では、法令や規程をしっかり理解せず、運用されていることが少なくありません。具体的なパターンとしては、
・割増賃金の算出で含めるべき手当が含まれていない
・そもそも計算方法が法令に合っていない
・遅刻等の端数処理で切り捨てている
などで、正しく計算されず、結果的に適切な残業代が支給されていないということが起こります。
このように、ほとんどのベンチャー企業では、必ず未払残業代が発見されます。
最近の上場審査では、この未払残業代については、厳しく審査される傾向にあり、問題が発見された場合は、必ず解消を求められますので、注意が必要です。
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会社の都合は通用しない
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『うちは大丈夫。社内規則でしっかり取り決めているから』という考えは危険です。
・年俸制だから残業代はない
・管理監督者の範囲を広げて、残業代を支払わなくしている
・残業代を支払わない旨で、社員と合意している
という、会社側都合は原則、認められません。
また、『残業代が、基本給や職務手当等に含まれている』というケースにおいても、ある一定の要件を満たす必要があり、それらの要件を満たしていなければ、支払う必要があります。
法令は労働者を保護する前提で、作られていますので、就業規則や社内規程などで、取り決めていたとしても、社内規則が法令に反する場合は、法令が優先され、社内規則は認められません。
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未払残業代は絶対に支払わないといけない
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上場審査の過程で、未払残業代が発見された場合、過去に遡って、支払うことが求められます。
1年前までは過去2年でしたが、2020年4月1日施行の労働基準法の改正で、賃金債権の消滅時効が、5年間(当面は3年間)に延長されました。
現在は、3年間の未払残業代の有無が、確認されることになっているようですが、そのうち5年になるかもしれません。
遡って計算しなければならないということ自体大変ですが、なによりも、退職者に対して、未払残業代がある場合も、精算を求められるので、退職者と連絡が取れないということは普通に起こりえるので、そうなったらもうたいへん苦労します。
2年ですら大変なのに、3年もしくは5年なんて想像するもの恐ろしいです。
これらの手間を考えると、できるだけ早く体制を整えて、適切に残業代を支払えるようにしたほうがいいと思います。
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労務管理で押さえるべきこと
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社員の労働時間を適切に管理することが重要です。
そのためにはまず、法令・制度を理解し、それに従った就業規則や社内規程などで取り決め、正しく運用することが大事です。
法令や社内規則などは、非常に細かで入り組んでいますので、できれば、弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談するほうがいいでしょう。
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次に必要なのが、正しく労働時間を管理することです。
具体的には、タイムカードや勤怠管理システムやICカードやパソコンの使用時間記録などが使われますが、ただ記録を取ればいいという話ではありません。その記録が客観的に正しいのかどうかを確認する必要があります。
・タイムカードの打刻時間外に業務する
・上司に打刻を強制されている
・自宅での持ち帰り仕事をしている
などがあってはいけません。
それを防ぐために、タイムカードとICカードもしくはパソコンの使用記録などを併用して、相互確認することが行われていたりしますが、その場合でも、双方の記録がずれていた場合に、どちらが正しいのか?上司や総務担当者が実態を確認し、記録を修正することが必要なんです。
正しく労働時間を管理する方法は、各社の運用スタイルによって様々ですので、主幹事証券会社の意見を聞きながら、専門家と適切な管理方法を選ぶのがいいと思います。
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厚生労働省から、”労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン”が出ていますので、ご興味あれば一読してみてください。
”労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン”
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まとめ
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今回は、上場準備で大事なことの2つ目、”上場準備で大事なポイント2/3-労務管理”をテーマに話をしました。
今回の話をまとめると、ベンチャー企業では必ずと言っていいほど、未払残業代が発見されます。
会社都合で取り決めた社内規則は通用しません。発見された未払残業代は絶対に支払わないと、上場審査に不都合が生じます。
労務管理で押さえるべきことは、法令を遵守し正しく運用することと、社員の労働時間を正しく把握し、記録を残すことです。
これらを理解することで、労務管理の何が問題になるのか?どうして問題なのか?そしてどのようにすればいいのか?がわかったと思います。
これであなたは、早めの対応をすることができ、きっと上場準備がスムーズに進められるようになります。
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wrote by ひさつぐ
(本名:丹田 久嗣(たんだ ひさし))
職業 :経営コンサルタント
業務内容:資金調達、上場準備、社外CFO、その他経営コンサル
活動地域:大阪、京都、滋賀、その他(要相談)
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