【資金調達】資本政策を作るときに気をつけるべきこと

『資本政策ってなに?』資本政策を知らない経営者も多いと思います。

 

知っていたとしても『作り方がわからない』『そんなものはいらない』と言って、敬遠する経営者もたくさんいます。

 

しかし、資本政策を作らず、行き当たりばったりで、資金調達してしまうと、資金調達先の株式保有割合が大きくなり、経営のコントロールを失ったり、強いては会社の経営権をも奪われかねません。

 

『しまった』と後悔しても後の祭りです。

 

せっかく苦労して、育て上げた会社が自分の手から離れていく。手放すつもりでいたのならまだしも、そうでなかったなら、悔やむにも悔やみきれません。

そんなことを避けるために、資本政策は必要なんです。

 

資本政策とは、上場するまでに必要な資金調達と株主構成をまとめた計画をいいます。具体的には、・誰から・どれ位の金額を・いくらの株価で・いつ資金調達するのか?です。

 

資本政策を作るにあたっては、様々な利害関係者が登場するので、複雑なものになりがちですが、これをしっかりと考えて、作っておくことで、必要以上に、資金調達先の株式保有割合を大きくすることを避け、経営の自由度を保ったまま、事業を推進することができます。

 

なお、ストックオプションや持株会などを盛り込んでおくと、役員や従業員のモチベーションアップにもつながり、事業計画達成への推進力にもなります。

前回は、”資本政策はどうやって作るの?” をテーマに、資本政策を作成するステップを説明しました。資本政策を作成する基本的なステップについて学べたと思います。

資本政策はどうやって作るの?

今回は、”資本政策を作るときに気をつけておくべきこと”をテーマに、

 

・資本政策を作るタイミング
・資金調達時期の株価
・創業者と安定株主の持株比率
・株式の種類
・株式譲渡

について話をします。

 

前回と今回の記事を理解できれば、もう資本政策が作れるようになります。さあパソコンを開いてすぐに資本政策を作って資金調達を始めましょう!

もくじ

資本政策を作るタイミング

資本政策は、どんな会社にもあったに越したことありませんが、必要がなければ、作りたくないというのが、本音だと思います。

しかし、上場を目指すなら、必ず作らなければいけません。

では、作らなければいけないタイミングはいつでしょうか?。それは上場目指すことを決めて、投資家から出資をしてもらう時です。

投資家は、出資するかどうかの判断材料として、必ず資本政策を求めてきますから、それまでに、資本政策を作っておかなければいけません。

また、資本政策は初めに作って、それで終わりではありません。

事業が進んでいくと、環境や状況が変わっていくので、更新していかなければいけません。

更新するタイミングとしては、望ましくは数ヶ月ごと、少なくとも、新たに出資を募集する際には、必ず更新しておくべきだと思います。

資金調達時期の株価

増資をする時、株価が高いほど有利です。株価が高いほど、創業者の持株比率を高く維持できるからです。

株価は、創業から上場するまで右肩上がりになっていくのが理想です。しかし、そんなに簡単な話ではありません。事業は計画通りいったりいかなかったり、浮き沈みがあります。

資金調達時の株価をあまり高く設定すると、次の資金調達時のそれとが逆転することがあり得ます。

これをダウンラウンドと言いますが、そうしないと、資金調達ができないからです。既存株主は株価のアップを望みますので、ダウンラウンドの増資は、簡単に認められません。

かといって、株価が高いままだと新規の出資はしてもらない場合があります。株価は高すぎず、また安すぎず、設定しなければいけません。

ダウンラウンドを避けるためには、事業が想定通り進まないことを踏まえて、各資金調達時の株価を決めましょう。目先の資金調達にとらわれず、希望的観測はしないように、冷静に控えめに見極めましょう。

創業者と安定株主の持株比率

創業者と安定株主の持株比率が低くなりすぎると、経営コントロールが効かなくなりますので、注意が必要です。

 

安定株主とは、企業業績や株価の変動などに関わらず、長期的に株式を保有し続ける株主のことです。 一般的には、その企業の経営者、従業員持ち株会、メインバンクや取引先企業などが、これに該当します。

 

株式会社では、どれくらいの株式を保有しているかで、できることが変わってきます。

 

重要な意思決定は、株主総会で2/3以上の賛成が必要(特別決議)です。取締役の選任など、大半の業務執行は1/2以上の賛成で決めることができます(普通決議)。

 

したがって、創業者と安定株主で2/3以上持っていれば、会社側の意見がほぼ通るということになり、逆に、創業者と安定株主で1/3を切る、と経営のコントロールが効かなくなるということになります。

 

創業者と安定株主で2/3以上を確保しておくと、会社側の思い通りに経営できますので、それを目指すべきでしょう。

 

しかし、持ち株比率にこだわり過ぎて、事業をスケールできなかったら、意味がありません。

 

業界によってもこの考え方は変わりますが、少なくとも、創業者と安定株主で1/2以上は、確保しておきたいところです。

 

創業者の持株比率とその他の安定株主のそれとをどう考えるかは、安定株主の顔ぶれと関係性にも寄りますが、創業者で35%から40%、安定株主含めて50%を目安にしておくといいでしょう。

株式の種類

株式には、普通株式と種類株式があリます。

 

普通株式とは、これを所有する株主の権利について、何ら制限を受けない標準的な株式のことであるのに対して、特別な権利や内容を持つ株式を種類株式といいます。

 

種類株には9種類あります。

 

剰余金配当優先株式
・残余財産分解優先株式
・議決権制限株式
・譲渡制限株式
・取得請求権付株式
・取得条項付株式
・全部取得条項付株式
・拒否権付株式
・役員選任権付株式

 

普通株はシンプルなので、扱いやすい印象がありますが、種類株においても、使い方によっては有効な手段になります。

 

しかし、初期の資本政策策定時には、これらを考慮して計画を立てるのは難しいので、進めていく中で活用すること考えていくといいでしょう。

株式譲渡

出資した投資家のうち、上場を待たずに株式を譲渡する場合があります。この株式譲渡では、既存株主と譲渡先との相対取引です。

会社側としては株主が変わるので、新しい株主がを受け入れるかどうかの意思決定はできますが、新たにお金が入ってくるわけではありません。

ですから、資本政策を作るにあたっては考慮する必要はありませんが、実績として反映させ、以降の資本政策に反映させる必要があります。

まとめ

今回は資本政策を作るときに気をつけておくべきことについてまとめました。

 

・資本政策を作るタイミング
・資金調達時期の株価
・創業者と安定株主の持株比率
・株式の種類
・株式譲渡

について話をしました。

 

前回と今回の記事を理解できれば、もう資本政策が作れるようになります。さあパソコンを開いてすぐに資本政策を作って資金調達を始めましょう!

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wrote by ひさつぐ
(本名:丹田 久嗣(たんだ ひさし))

職業  :経営コンサルタント

業務内容:資金調達、上場準備、社外CFO、その他経営コンサル

活動地域:大阪、京都、滋賀、その他(要相談)

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