【資金調達】出資による資金調達のための事業計画

投資家は、大きく分けて、エンジェル投資家などの個人投資家、ベンチャーキャピタル、事業会社の3つあります。

 

それぞれで投資目的は違います。少し乱暴ですが、例えば、エンジェル投資家は企業の応援、VCはお金儲け、事業会社は自社商品とのシナジー、といった具合です。

 

会社にとってどこに出資してもらうのがベストなのか?は考えどころではありますが、いずれも程度の差はあれ、出資するからには、会社を大きく伸ばしてほしいと考えているのは、共通しています。

 

さらに踏み込んで言うならば、一部の投資家は、いや、大半の投資家は、と言っていいかもしれませんが、イグジット、出口戦略を重要視します。

 

なぜなら彼らは、安くで株を買って、高くなった時にその株を売り、差益で儲けることを目的としているからです。

 

このことは絶対に忘れてはいけません。出口戦略を考えていない会社には、出資してもらえないということになります。

 

そのような彼らは、どのようにしてベンチャー企業を評価するか?それは、ベンチャー企業が提示する事業計画をもとにして、未来の可能性を判断するんです。

 

ですから、事業計画の出来栄えというのが大事になってきます。

 

『事業計画を作っても絵に描いた餅だろ?』という起業家がいます。ある見方をすると確かにそうです。

 

しかし、『どうしたいか?』という夢を語れない起業家に、誰が投資してくれるでしょうか?事業計画は起業家の夢の乗せた未来設計図です。投資家からの応援を望むなら、必ず事業計画を作らないといけないんです。

 

今回は、”出資による資金調達のための事業計画”をテーマに、

 

・出資による資金調達に必要な事業計画とは?

・どんな事業計画が投資家の心を掴むのか?

・事業計画の策定で失敗しないために

 

について話をします。

 

事業計画の重要性を理解し、投資家に魅せる事業計画を作るにはどうすればいいか?考えましょう。投資家がワクワクするような事業計画が提示できれば、大きな資金調達ができ、事業がどんどん進んでいくでしょう。

もくじ

出資による資金調達に必要な事業計画とは?

事業計画は、目的と誰に向けてなのか?で、書く内容が異なります。

 

わかりやすいのが、融資の際に使う事業計画と、出資の時に使う事業計画との違いです。

 

銀行は”貸したお金がちゃんと返ってくるのか?”をみているので、保守的な事業計画を好み、夢のような話は嫌いです。

 

一方、投資家はガチガチの保守的な計画に魅力をまったく感じず、もっと夢を語ってほしいと思っています。

 

このように相手によって、求めるものや気にしているところは違うので、相手が何を求め、どこを重要視するのか?を把握した上で、事業計画を作ることが重要なんです。

 

 

事業計画の骨子

 

銀行融資では、雛形が用意されていることが多いです。銀行内の決済プロセスがきっちり決まっていて、必要な資料や評価方法があらかじめ用意されるからです。

 

この場合は、雛形に沿って作ればいいのですが、投資の場合は違います。

 

投資時に使う事業計画には、投資家が求める内容を盛り込まなければいけませんが、投資家によって少しずつ求めるものが違うことがあるので、注意が必要です

 

とが言うものの、外せない内容というものがあるので、それらについてはしっかりと押さえておいたほうがいいでしょう。

 

基本的な構成としては、ビジョン、会社概要、社長プロフィール、課題と解決方法、ターゲット市場、商品の特徴、事業戦略、事業展開タムスケジュール、損益計画、資本政策、要望、などです。

 

これらを基軸に、相手によって、項目を追加したり、削除したり、順番を変えたりして、作り込んていくといいと思います。

 

プレゼン用と提出用とで使い分ける

プレゼン用と提出用とで、同じものを使ってはいけません。用途が違うので、使い分ける必要があります。

プレゼン用では、経営者自身の人柄や想いや意気込みを評価するニュアンスが強いですので、プレゼンしている時に、手元の資料や映っている資料を読み込まれてしまうと、よくありません。

ですから、プレゼンしている経営者に目を向けるてもらえるように、資料は、文字を極力避け、視覚的に表現したものにして、経営者に集中してもらうようします。

一方、提出用は、のちのちに読み返して、内容が理解できないと意味がありません。プレゼン用で作った資料をもらって、後で内容が思い出せないことがあります。

ですから、伝えたいことをしっかりと、文章で表現しておく必要があります。

かといって、改めて作る必要はありません。プレゼン用で作った事業計画に、伝えたいことを追記したものにすると、手間は少なくて済むでしょう。

どんな事業計画が投資家の心を掴むのか?

投資家の堂々とした態度

 

ベンチャー企業が作る事業計画は必ず、甘くなってしまいがちです。

 

甘い事業計画になってしまう理由は、起業家がやろうとしている事業に思い入れがあるため、現実のニーズ以上にニーズがあると期待してしまいます。事業を行うのに、必要なコストやリスクについて、知識が不足していたりします。

 

また、起業家だからこそ、事業が成立するように数字を組み立ててしまう心理が働き、利益が出るように、経費を低くみたり、売上を甘く予想したりします。

 

投資家はそのことをよく知っています。ですから彼らは、出てきた事業計画を鵜呑みにはしません。彼らの高い知識と千里眼を持って事業計画を精査し、彼らなりにディスカウントして評価をしようとします。

 

それを前提に、彼らは起業家に、厳しい質問や意見を投げます。中には辛辣な言葉や馬鹿にするようなコメントが出てくることもあります。逆に鋭い指摘やアドバイスがもらえることもあります。

 

投資家からの言葉に一喜一憂してはいけません。

 

堂々とした態度こそが投資家の心を掴む第一歩です。彼らの意見を、真摯に、しっかり受け止め、見直すべきは見直し、聞き流すべきが聞き流し、自信をもって挑みましょう。

 

 

わかりやすいビジョン

 

最近流行りのキーワードを使ったビジョンをよく目にします。見た目のいい、格好かいい、スマートなビジョンが好まれる傾向にありますが、実はそのようなビジョンはあまり響きません。

 

事業計画は、経営者の想い描いた夢を、創業メンバーや投資家や金融機関、外部の専門家などの方々と、共有するためのものです。

 

『このビジネスが実現したら、スゴイことになる』という期待感が共有できれば、多少無理のある計画でも、『協力してやろう』と思います。

 

その基本となるのが、ビジョンです。

 

・どんな会社にしたいのか?
・どういう社会を創造するのか?

 

魂をビジョンに吹き込まなければいけません。多少ダサくても、流行りに流されず、起業家の想いをわかりやすく伝えられるほうが絶対にいいです。

 

 

起業家のプロフィールチーム編成

 

生まれたばかりのベンチャー企業が成功するかどうかなんてわかる人はいません。投資家も同じです。

 

では投資家はどうやって判断するのか?

 

それは、起業家自身のこれまでの実績、人柄、熱意、志を基本とし、経営チームのパフォーマンスや実績をみます。

 

ベンチャー企業が掲げる事業計画は、だいたいのケースにおいて何かしら間違っていることが多く、例えば、対象市場が適切ではなかったり、技術が確立されていなかったり、戦略が曖昧だったり、といったことがあります。

 

必ずあります。

 

そんな中で、投資家が投資をする際、プランそのものだけではなく、起業家のみならず、チーム構成がどうなのか?に大きなウエイトが置いてます。

 

このチームであれば、例え想定プランから大きくずれたとしても、必ず、生き抜き、課題を克服し、市場に適応するだろう、というチームに、投資家は投資をしようとするんです。

 

 

大きく成長する市場規模

 

市場規模には3つの視点があります。TAM、SAM、SOMです。

 

TAMは、実現可能な最大の市場規模で、市場における商品/サービスの総需要を示しています。

 

SAMは、TAMの中で、特定の顧客セグメントに絞った市場を示します。会社が当面追求すべき目標市場を示します。TAMと合わせて考えることで、参入可能なマーケットや顧客の選別が明確になります。

 

SOMは、実際に直近で、自社が取得できる市場を示しています。SOMは、短期的な売り上げの目標であり、重要な指標になります。SOMはSAMのターゲットをより絞っているイメージです。

 

すなわち、TAM、SAM、SOMはつながっているんです。

 

SOMが取れない場合は、SAMやTAMをとることはできないと投資家は考えます。

 

逆に、SOMが取れていたり、取れるような兆候が見えている場合には、SAMやTAMあるいは、さらなる市場の拡大も期待できると判断されます。

 

SAMやTAMが大きいほど、投資家は魅力を感じます。

市場規模をどう表現するか?

 

商品/サービスの優位性とPMF

 

商品に優位性がなければ、消費者に、あなた会社の商品を買う理由がありません。新規参入ビジネスであれば、なおさらです。

 

無名で信用力のない商品を誰が進んで買うでしょうか。競合他社との差別化や自社しかできないことなどの独自性がたいへん重要です。

 

優位性が大きければ大きいほど、その商品は魅力的になります。市場でどの立ち位置にいるのか、競合他社との違いがなんなのかを明確にしておく必要があります。

 

それを確かめるための1つが、PMF(Product Market Fit)です。

 

ベンチャー企業が失敗する理由として、PMFに失敗しているというのが多いと言われています。

 

起業家の強い想いによって事業を進めていきますが、その想いが世間とズレすぎていると、市場に受け入れられないということがあります。

 

この技術、この製品は素晴らしい、と自信をもって、市場に打ち出してみても、実際には、それを求めている人が思ったほど存在しなかった、あるいは、そうした技術や製品に対するニーズを喚起する事業開発ができなかった、というケースは少なくありません。

 

ですから投資家は、『この商品/サービスは、顧客に受け入れられるのか?』という視点でみています。特に最近は、この傾向が強い気がします。

 

さらに、PMFの前に行うと、有効なのが、PoC (Proof of Concept) です。

 

PoCをよく活用している業界究開発とそうではない業界があるので、絶対にやらなければいけないかというとそうでもないですが、できるのであれば、やっておいた方がいいとは思います。

 

というのも、PoCは、新しいアイディアが実現可能か、目的の効果や効能が得られるか、などを確認するため行うものです。

 

具体的には、製品やシステムの簡易版、PMFで使うプロトタイプよりも軽いものを作る、あるいはコンセプトをまとめ、実際にユーザーに見てもらう、使ってもらいます。

 

そして、課題の解決ができるのか?実用化するための課題は何か?そもそも価値を見出すことができるのか?を検証することで、PMFの方向性が確認するんです。

 

ここで重要なのは、これまで考えてきたアイデアの方向性が間違っていないか?どうかを確認することであり、問題や課題があれば、開発の方向性を軌道修正することなんです。

 

出口をイメージした財務計画

 

多くの投資家は、安くで株を買って、高くなった株を売って、儲けることを目的としています。

 

投資家が儲けるタイミングとしては、ベンチャー企業がIPOやM&Aする時なので、投資家は、いつIPOやM&Aするのか?どれくらいの時価総額になるのか?を気にします。

 

当然ですが、彼らは時価総額が大きいほど魅力を感じます。

 

ですから起業家は、財務計画を作る時には必ず、出口( Exit)をイメージしたものをしておかなければいけません。また、出口に向けて、どのような戦略でどのように成長していくのか?しっかりと示す必要があります。

 

しかしながら、ベンチャー企業が考える財務計画は、どうしても甘くなりがちです。

 

売上、固定費や変動費などの経費、そして利益。事業が成立するように数字を組み立ててしまう心理が働き、利益が出るように、経費を低くみたり、売上を甘く予想したりしてしまいます。

 

ですから、この財務計画では、収入は少なめに、出費は多めに、見積もるのが基本です。また、想定外のトラブルが起こることも想定して、シビアにみておくことが必要です。

投資家に魅せる財務計画を作る3ステップ

 

事業計画の策定で失敗しないために

マイナス思考で考える

 

何度も言いますが、ベンチャー企業が作る事業計画は甘くなりがちです。

 

それは仕方がないことですが、そのことをしっかりと理解して、自制しなければいけません。失敗しない事業計画を作るポイントは、マイナス思考で作ることです。

 

楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する

 

この言葉は、京セラ創業者である稲盛和夫氏の経営哲学の一つです。

 

不確実な未来を完璧に想定することは難しいですが、現時点でどれだけ想定できるかで、事業計画の成功確率は、大きく変わるんです。ネガティブ思考で考えていきましょう。

 

特に、財務計画については、”想定外”というキーワードで、安全サイドに考えましょう。

 

第三者の目を利用しながら経営者が考える

 

起業家だけで、すべてのことを完璧に整えることは不可能です。ですから、第三者の目を利用すると効果的です。

 

事業計画がチェックできることはもちろんですが、第三者と事業計画について議論すると、起業家の考えが深まったり、新しい発見ができたりします。

 

起業家だけで事業計画を作るのではなく、外部から冷静にみることができる第三者に相談することには、価値があります。

 

しかし、会社をどうしたいか?は、起業家の頭の中にしかありません。ですから、事業計画は、起業家が作るしかありません。コンサルタント等に丸投げして、作ってもらうケースがありますが、絶対にやってはいけません。

 

文書・書面への落とし込みに、外部リソースを使うことは構いませんが、事業計画のベースは、起業家自身が作りましょう。

 

見た目にこだわった美しい事業計画よりも、少しばかり形式が崩れてても、見た目が悪くても、起業家の想いがこもった事業計画のほうが評価は高くなります。

 

投資家は、事業計画だけでなく、起業家もみています。形式や見た目ではなく、起業家の想いを優先して、事業計画を作るようにしてください。

 

見た目にこだわった美しい事業計画を作りたいのであれば、中身をしっかり作り上げた後、広告デザイナー等に、作ってもらえばいいんです。

 

投資家の評価視点はステージによって変化する

 

投資家は、ベンチャー企業のステージによって、少しずつ求めるポイントを変えていきます。

 

シード/スタートアップ期では、事業もまだアイデア段階であり、この時期に立てた未来予測は非常に不透明な状態なので、ターゲット市場の可能性や起業家の人柄、こだわり、信念、熱意に重きを置いてます。

 

アーリー期になると、PMFやチーム構成が重要評価ポイントになります。ここくらいまでは、投資家は、損益計画の数値についてそこまで信憑性を求めてこないと思います。

 

しかしさらに、ミドル期になって、事業が軌道に乗り、ある程度精度よく数値が読めるようになると、損益計画の確実性に重点ポイントが変わりますので、この時点で、頑張ります的な数値を提示するのは、よくありません。

 

投資家の評価ポイントはベンチャー企業のステージによって変わっていきますから、そのことを頭に入れて事業計画を作りましょう。

 

 

まとめ

今回は、”出資による資金調達のための事業計画”をテーマに、

 

・出資による資金調達に必要な事業計画とは?

・どんな事業計画が投資家の心を掴むのか?

・事業計画の策定で失敗しないために

 

について話をしました。

 

事業計画の重要性と投資家に魅せる事業計画を作るにはどうすればいいか?わかったでしょう。これできっと、投資家がワクワクするような事業計画が提示できるようになります。

 

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wrote by ひさつぐ
(本名:丹田 久嗣(たんだ ひさし))

職業  :経営コンサルタント

業務内容:資金調達、上場準備、社外CFO、その他経営コンサル

活動地域:大阪、京都、滋賀、その他(要相談)

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